特集 社会人入学者のいる教室―より適した教育を目指して
社会人入学者の特徴と学校の行方―成人教育の視点から
渡部 真
1
1横浜国立大学教育人間科学部
pp.114-117
発行日 2009年2月25日
Published Date 2009/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101126
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
成人教育の視点から見た,学校における社会人入学生
■成人教育を論じた理論から
本稿では,学校への社会人入学者のことを考えてみたい。
まずはじめに,成人教育のいくつかの理論について検討してみよう。国立教育政策研究所の岩崎久美子は,成人学習の大きな特徴として,「自己決定性」と「経験の活用」の2つをあげている1)。「自己決定型学習」では,学習が自己意志により意図的に行われることが重要であり,「経験の活用」では,経験は,学習資源であると同時に,学習への誘因でもあるという。例として岩崎は,「闘病という経験は同じ病気に悩む人々の学習資源であると同時に,本人にとっても告知の問題,医療制度の問題を学ぶきっかけ,誘因になる」とする。ただ,「経験のすべてが学習資源になるとはかぎらず,学習の障害になる場合もある」という2)。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.