連載 スクリーンに見るユースカルチャー・28【最終回】
思い悩む者
小池 高史
1
1横浜国立大学大学院環境情報学府
pp.1159
発行日 2008年12月25日
Published Date 2008/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101089
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主な登場人物は5人の高校生である。そのうちの3人が陸上競技をしている。3人のうち広瀬と中沢の2人は800m走を,伊田は100mハードルを種目としている。広瀬と中沢は,同じ種目で県大会の1位の座を競い合っている。伊田は,全国大会でも上位に入る実力者である。ストーリーは,友人でもありライバルでもある3人の関係の変化とともに進んでいく。
この3人のお互いに対する評価はとても興味深い。劇中,広瀬は中沢を「何も考えていない。本能のままに生きている」と評し,それゆえに尊敬していると話す。一方,そんな広瀬自身は伊田に「いつも陸上のことしか考えていない。悩みがない」と評され,羨望されている。映画を観ている者としては,その実,3人がそれぞれ生活上の困難を抱え,思い悩んでいることが理解できる。
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