連載 看護学校の経営・管理論・7
危機管理─事故や事件防止の視点から
網野 寛子
1
1東京都ナースプラザ
pp.968-972
発行日 2008年10月25日
Published Date 2008/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101047
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「今そこにある危機」への備え
看護師養成所に入学する一番若い学生は18歳,未成年者である。未成年であるために,たとえば進路を変更したいと申し出てきた時には,保護者である親の承諾が得られているかどうかを最初に確認する。法的に成人年齢に達しないため,本人の意思と保護者の同意が必要であり,書面で提出され,確認できてはじめて退学を許可することができる。保護者が納得せずこじれて裁判になったら,間違いなく学校側が敗訴する。
世の中では訴訟が増え,法科大学院の創設,裁判員制度の発足など,社会制度も変わりつつある。医療も例外ではなく,事故による訴訟も多発している。看護職も訴訟社会の到来とともに,医療事故や訴訟の保険に加入するのが当たり前となりつつある。看護師養成所も訴訟を前提にリスク管理を考えていかなければならない時代になったということである。そのため管理者は,さまざまな場面を想定して危機へ適切に対処することが使命であり,またそれによって管理者は鍛えられることになる。
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