特集2 看護学生論文―入選エッセイ・論文の発表
論文部門
術後の活動が消極的な高齢患者への看護―自尊心へのアプローチ
中尾 江里
1
1兵庫県立淡路看護専門学校(投稿当時)
pp.745-748
発行日 2008年8月25日
Published Date 2008/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101000
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はじめに
人間は,行動主体であり潜在的な能力を持っている存在である。そのために自立した生活を送ることができる。予備能力が低下している状態の高齢者に疾病罹患などの負担がかかると,急速に日常生活能力が低下する。人は自らがコントロールできない不快な刺激にさらされ,また援助を要する環境に長くいると「自分では何もできない」という無力感に陥り,自尊心の低下が生じ,生きる目的や意味が見出せなくなる。そこで,自尊心を高める関わりが必要となる。
今回,術後に下肢の腫脹・疼痛が強く,活動が消極的な高齢患者を受け持った。患者は夫と二人暮らしであり,家事や身のまわりのことを自分で行っていたが,受傷後は「できない」という思いが強かった。そこで,自尊感情が高まるように関わったが,このことが患者の言動にどのような影響を与え,変化と結びついたのか考察したのでここに報告する。
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