- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
cerebral microbleeds(CMBs)は、GRE T2*強調画像の小さな点状低信号で、微小出血やヘモジデリン沈着が示唆されるが、臨床病理学的検討は限られ、撮像法など定義は確定していない。血管脆弱性のバイオマーカーが求められる中、CMBsがsmall vessel disaseのマーカーとなる可能性が注目されている。脳出血とラクナ梗塞は、高血圧をリスクとし、small vessel diseaseとして共通した基盤を有することが推測されている。一方、皮質に分布するCMBsには、cerebral amyloid angiopathy(CAA)が含まれる可能性が示唆され、認知機能障害を有する高齢者脳梗塞の二次予防では、抗血栓療法の慎重な適応判定が望まれる。脳梗塞二次予防で抗血栓薬服用中の患者での脳出血などの出血合併症は、一度起こると急性期血腫拡大進展リスクも高く、機能予後・生命予後とも不良なイベントになり、重要な課題である。この背景からも、脳梗塞再発予防における抗血栓療法による二次予防のメリットと、出血合併症リスクを症例ごとに評価するためのEBMが求められている。「脳卒中ガイドライン2009」でも、微小脳出血への言及があり、脳出血リスクを踏まえた十分な血圧管理の重要性が強調されている。血管イベント予防における24時間に及ぶ血圧管理の重要性が強調される中で、CMBsの存在は、血圧管理不良な状況を反映する可能性も注目されている。脳のsmall vessel diseasの背景病理や脳出血の病態機序など、基本的な解明がなされていない現状で、ベッドサイドで血管脆弱性、血管内皮機能障害、易出血性(bleeding-prone)を評価する試みが集積される中で、尿中微量アルブミン、網膜血管、全身血管床とCMBsや白質病変が注目されてきた。現状では、CMBsの有無、分布、量によって抗血栓薬の適応判定根拠となるエビデンスレベルの高いEBMはないが、脳梗塞病型(ラクナ梗塞など)を踏まえ、十分な血圧管理下で、抗血栓薬の強度、種類、併用にも留意した、慎重な治療選択が望まれる。
©Nankodo Co., Ltd., 2010