診療controversy medical decision makingのために 抗GAD抗体陽性糖尿病患者をどう扱うか
インスリン療法に消極的な立場から
山田 悟
1
1北里研究所病院 糖尿病センター
キーワード:
Glutamate Decarboxylase
,
Insulin
,
インスリン抵抗性
,
糖尿病-1型
,
Thiazolidines
,
抗GAD抗体
,
膵島細胞抗体
Keyword:
Diabetes Mellitus, Type 1
,
Insulin
,
Glutamate Decarboxylase
,
Insulin Resistance
,
Thiazolidines
,
Islet Cell Antibody
pp.313-317
発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010107279
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抗GAD抗体陽性であってもインスリン非依存状態(NIDDM)の患者に対して、インスリン療法は必ずしも不可欠なものではない。それには2つの理由がある。(1)抗GAD抗体陽性NIDDM患者で将来的に高率にインスリン療法を要することを示した研究が複数存在する。しかし、それでも北欧を除くと50%程度の患者ではNIDDMが維持されており、必ずしもIDDMにいたるわけではない。(2)インスリン以外の治療法(たとえばインスリン抵抗性改善系の薬剤)のもとでインスリン依存を免れている症例があり、β細胞の負担を軽減することこそがインスリン依存状態への移行を遅延・予防させる方法であるという可能性がある。もし、抗GAD抗体陽性NIDDM患者がインスリン治療を拒否する場合、かたくなにインスリン治療を強要するのではなく、β細胞の休息をもたらすようなインスリン以外の手段を講じて経過観察することは医学的に問題のない選択肢である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010