診療controversy medical decision makingのために 高齢者高血圧症例の血圧コントロールレベル
消極的な立場から
小原 克彦
1
1愛媛大学 大学院加齢制御内科
キーワード:
疫学
,
危険因子
,
降圧剤
,
高血圧
,
収縮期
,
生存率
,
認知症
,
高齢者
,
基準値
,
診療ガイドライン
,
ランダム化比較試験
,
メタアナリシス
Keyword:
Antihypertensive Agents
,
Aged
,
Dementia
,
Epidemiology
,
Hypertension
,
Risk Factors
,
Reference Values
,
Systole
,
Meta-Analysis as Topic
,
Survival Rate
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Practice Guidelines as Topic
pp.988-993
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008196549
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JNC-7の著者であるChobanianは、高齢者高血圧の主な病態である収縮期高血圧診療における未解決な領域として、(1)拡張期血圧の低下が有害となる場合があるか、(2)80歳以上の高齢者に対する降圧薬治療が有効かどうか、(3)降圧薬治療が認知症発症予防に有効かどうか、(4)軽症高血圧(収縮期血圧140~159mmHg)に対する降圧薬治療の有効性があるか否かの諸点をあげている。これらは、いずれも、現時点で確定的なエビデンスがないためである。したがって、ガイドラインも、臨床試験の後付解析や、メタ解析あるいは疫学的なエビデンスを組み合わせて記載されているのが実情である。高齢者高血圧の血圧コントロール目標値を厳格に(低めに)設定すべきかに関しても、proの成績もconの成績も存在する。本稿では、降圧に消極的な立場から、文献的考察を行う。
©Nankodo Co., Ltd., 2008