連載 私の一冊・38
「伝説」を検証し,真の歴史に近づくための道しるべ
加藤 文三
pp.644-645
発行日 2008年7月25日
Published Date 2008/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100968
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私たちがつくった本を自分でほめるのもなんだが,この『日本人 いのちと健康の歴史』という絵本は,なかなかよくできていて楽しい。
まず,装丁がすばらしい。各巻の表紙には,それぞれの巻から,その時代を端的に描いたものをとっているが,第1巻は,額田王が,馬に乗って駆ける大海人皇子に袖を振っている「薬狩」の絵である。着ている服は,昔の1万円札にあった聖徳太子のような間違ったものではなく,高松塚古墳の壁画に描かれている飛鳥時代のものである。このように,1つひとつの時代考証が行き届いていて,かつ魅惑的である。
絵本だから,絵が生命であり,画家の皆さんは,それぞれ献身的に努力してくださった。画家の皆さんが力を十分ふるえるように,各巻の編集担当者は,細かい点にまで配慮して具体的に検討を進めた。そのような協力ができるためには,それまでの間の長い年月と努力があった。
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