Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ウォーリスの『ふたりの老女』―アラスカの棄老伝説
高橋 正雄
1
1筑波大学障害科学系
pp.714
発行日 2008年7月10日
Published Date 2008/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101296
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1993年に発表されたヴェルマ・ウォーリスの『ふたりの老女』(亀井よし子訳,草思社)は,極北の地に生きるアラスカ先住民の間で語り継がれてきた棄老伝説に基づく物語であるが,そこにはわが国の代表的な棄老伝説である『楢山節考』とは異なる高齢者の生き方が示されている.
その年は殊の外,厳しく寒い冬だった.差し迫る飢えに直面した遊動民の一団は,冬を乗り切るために80歳と75歳の老女を置き去りにすることを決めた.
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