映画の時間
—風を愛した女の伝説—蒼の乱
桜山 豊夫
pp.429
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208208
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梅雨の季節が近づいてきましたが,鬱陶しい梅雨空を吹き飛ばすような映画をご紹介しましょう.昨年春に,東京や大阪で公開された劇団☆新感線の演劇を映像化した「ゲキ×シネ『蒼の乱』」です.「ゲキ×シネ」とはテレビなどの通常の劇場中継とは違い,10数台の高精細カメラを用いてさまざまな角度から舞台を撮影し映像化したもので,元の舞台とはひと味違った映画になっています.本欄でもかつて同じ劇団☆新感線の『薔薇とサムライ』をご紹介したことがあります.
時は平安の世,左大臣・忠平の宴の席で,大陸からの渡来の民である蒼真(そうま・天海祐希)と桔梗(高田聖子)が余興の占いで,西海と東国で反乱が起こるという国家大乱の卦を出します.悪い卦に怒った左大臣は,配下の坂東武者たちに渡来衆の殺害を指示します.この殺害も余興の一環であったようで,坂東武者の将門小次郎(松山ケンイチ)は左大臣の命令に逆らって,蒼真と桔梗を救いだします.しかし都に彼らの隠れる場所はなく,西海(瀬戸内海)へと落ち延びていていきます.
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