連載 プラトンからはじめる教育学入門・12【最終回】
「到達」から「発展」へ
山口 栄一
1
1玉川大学教育学部
pp.634-637
発行日 2008年7月25日
Published Date 2008/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100965
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学習意欲を失っているのか?
昨今は,子どもたちの学ぶ意欲の低下が問題となっています。この問題の発端には,わが国の子どもたちが国際学力比較において常にトップの成績を収めているにもかかわらず,勉強への興味・関心という点では,かんばしくない位置にいることがあったと記憶しています。その原因が教科内容の過剰な負担に求められ,内容の精選と時間数の削減という政策に反映されたのでした。もちろん,加熱する入学試験が非難されたのは言うまでもありません。そのために,受験科目数は減らされ,文系では,英語と国語ばかりになってしまったことは,私たちのよく知るところです。
こうした軽減策にもかかわらず,子どもたちの学習意欲はいっこうに改善されず,そればかりか,学力まで低下する結果となって,政策はふたたび減らした内容を復活し,時間数を確保する方向に振り子がふられたのが今回の学習指導要領の改定です。それが大学でのシラバスと時間数の確保となったとすれば,大学はそのとばっちりを受けたということにもなります。もっとも,子どもは成長するにつれ,「生徒」になり,「学生」と名を変えるのですから,大学もその対応に迫られるのは,当然といえば当然でしょう。
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