看護教育研究
臨地実習における看護学生のアトピー性皮膚炎の現状と課題
古畑 ちはる
1
,
岡本 佐智子
2
1米沢市立病院
2埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科
pp.150-154
発行日 2008年2月25日
Published Date 2008/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100864
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緒言
近年,わが国ではアトピー性皮膚炎が増えてきている。厚生労働省1)の推計によると,国内のアトピー性皮膚炎の総患者数は1996年には31万8000人であったが,1999年には39万9000人に急増しており,小児期では20年前と比較すると有症率が変わっていないが,成人期以降には5倍増加しているのが特徴である。このことは看護学生においても例外ではなく,臨地実習中に皮膚症状が悪化している学生が増えてきていることを実感する。
埼玉県立大学短期大学部看護学科では,数年前に化繊の刺激でストッキングが履けない看護学生がいたことから,実習用のユニフォームをストッキングを履くワンピースタイプのみから,綿の靴下が履けるパンタロンタイプも認めることに変更されたという経緯がある。また,皮膚症状が強いと手洗いなどにも影響し,看護実習に悪影響を及ぼしていることが推測された。
しかしアトピー性皮膚炎に関する医学中央雑誌のここ10年間の論文では,「看護学生」および「アトピー」の検索結果は2件のみ2, 3)と数少なく,関連する研究の大半がアトピー患者に対する研究であり,看護学生の実態は不明である。
そこで,看護学生のアトピー性皮膚炎の実態について調査し,臨地実習に与える影響について検討した。またアトピー性皮膚炎による影響は看護師にも起こりえることであり,看護学生の実態を知ることは看護師の現状の基礎資料になると考えた。
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