特集1 看護学生の論文
入選エッセイ・論文の発表
論文部門
無為状態で清潔行動がとれない患者への援助と心理的な意義
佐藤 由貴子
1,2
1苫小牧看護専門学校専門課程看護第2科(投稿当時)
2医療法人社団養生館苫小牧日翔病院(整形外科病棟)
pp.696-699
発行日 2007年8月25日
Published Date 2007/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100739
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はじめに
清潔の援助には生理的・精神的・社会的意義があり,身体を清潔に保ち身だしなみを整えることは,人の基本的ニーズの一つである。
私は看護学実習において,統合失調症慢性期患者のAさんを受け持った。精神症状が強く無為状態で,自発的に清潔行動がとれないため,不潔な状態でいることが多く,気にしている様子もみられなかった。そこで清潔援助を行い,清潔でいることの心地よさを知ることで,快の感情に働きかけ,健康時の清潔レベルに少しでも回復するように図った。
最初は無表情だったAさんが言葉を発し,笑顔を見せるようになり,介助により自発的な清潔行動をとるようになった。無為状態の患者に対しての清潔援助には,清潔観念や快の感覚を呼び覚ます心理的な意義があることを学んだ。ここにその学びを報告する。事例から得たすべての情報は,個人が特定できないように配慮した。
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