Japanese
English
精神科OTの実際
無為自閉
Occupational Therapy for a Chronic Schizophrenia
冨岡 詔子
1
Norjko TOMIOKA
1
1山梨日下部病院
pp.719-724
発行日 1976年9月15日
Published Date 1976/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101308
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はじめに
精神科の臨床に入って,やっと4年目を迎えた,作業療法(OT)は,活動・人間関係・集団をつかう精神療法的接近であるという,当院での公式見解ともいうべきスローガンに支えられて患者に接してきているものの,今だに試行錯誤の手探り段階であるのが実状である.患者の問題点やOTでの治療方針がいつも明確に治療者(Th)に意識されているわけではない.むしろThの疑問や戸惑いにはおかまいなく「患者は待ってくれない」し,「いつもそこにいる」わけだから,経験的,直感的なはたらきかけを繰り返しているのが,臨床での実践ともいえよう.
今回はそういった現状の中で接してきたケースの中から一例を選んで報告してみたい.与えられたテーマは「無為・自閉に対するOT」とあるが,重度の人格荒廃をともなった,病棟に閉じこもりきりの,いわゆる典型的な症例を報告するにはまだ経験も浅く気遅れもするので,少しテーマからはずれるかもしれないが,「行動面でも対人関係面でもどうやら病院生活には適応しているが,その先どうしてよいか分らない」という,ある意味ではOTでよくみかける慢性分裂病の症例を選んでみた.
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