焦点 再び,人工呼吸器取り外し問題について考える
1.呼吸器装着を選択した患者への看護で学生に学ばせたいこと
佐藤 正子
1
1東京慈恵会医科大学医学部看護学科
pp.422-425
発行日 2007年5月25日
Published Date 2007/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100666
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はじめに
筆者は,昨年本誌の富山県射水市立病院で起きた人工呼吸器取り外し事件に端を発した特集を大変興味深く読んだ1)。なかでも筋ジストロフィー症の患者でもある梶山シゲルさんの当事者としての思いを深く受け止めた2)。私の担当する在宅看護実習では,人工呼吸器をつけている療養者を学生が受け持つことが多い。実習に行く前に,療養者がどのような気持ちで療養生活を送っているのか,またこのように事件の報道を受け止めているということを,理解する手がかりとして,このエッセイを学生に読ませた。
在宅看護実習で学生は,筋萎縮性側索硬化症(以下,ALS)で在宅人工呼吸療法(以下,HMV)歴6年のAさんと,HMV歴2年のBさんを受け持った。学生は,梶山さんの当事者としての思いを前提に,人工呼吸器装着を選択し生活している療養者からさまざまなことを学んだ。ここでは,在宅看護実習で学生は何を学んだか,教員として学ばせたいことは何だったのか検討する(□は学生の実習日誌の記録からの抜粋である)。
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