特集 技術革新と競争激化―特定保険医療材料の今後
イノベーションを患者に届ける
松本 晃
1
1ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
pp.647-650
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100991
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人間の生命・健康に関心が高まり,生活の質(Quality of Life:QOL),長寿が大きなテーマとなってきた.一方,人類の目覚しい科学・技術の発展は人間の生命や健康に向けられ,近年の薬,医療機器・材料の開発進歩は,特に欧米を中心に顕著である.過去には不治の病とされた多くの種類のがんや心臓病,脳疾患も,今や薬,医療機器および医療技術の発展により解決されつつある.企業であろうが NPO であろうが,あるいは行政であろうが,究極の目的は “世の為・人の為” であり,その目的を達成するには,新しく開発された薬,医療機器,医療技術,そのイノベーションを一日も早く,かつ安全に患者へ届けることが,われわれの責務であることに議論の余地はない.
低浸襲手術を可能にした内視鏡や機器,外科用ロボット,MRI,PET,再生医療,薬剤溶出血管ステント,人工関節,遺伝子解析装置,各種レーザー,心臓ペースメーカー,除細動器….革新的な医療機器・技術は枚挙にいとまがない.
しかし本邦では,特に欧米で開発され,日本の患者が待ち望んでいるそうしたイノベーションが,数年も遅れてようやく患者に届くことが指摘され,それは行政の怠慢であると言われ続けてきた.特にここ数年,いわゆる厚生労働省(以下,厚労省)を中心とした行政当局をバッシングすることで,業界も医療側も留飲を下げてきた.しかし,筆者は医療機器に21年間携わってきたが,以前から異なる主張をしてきた.
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