特集 看護の歴史はおもしろい 語り継がれる人と時代
第5部 未来に向かって
戦後60年,歴史に学びこれからの看護がめざすもの
草刈 淳子
1
1愛知県立看護大学
pp.1070-1076
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100540
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一つの時代の終焉と新たな時代の幕開け
2005年夏,金子光氏が急逝された。戦前から厚生省技手として保健婦養成に関わり,第二次世界大戦後は,新しい日本の厚生省組織の中に初めて設置された「看護課」の看護行政の基礎となる資料を,GHQ公衆衛生福祉局(PH&W)看護課のオルト課長とともに収集し,改革を実行し,二代目看護課長として活躍されたことは,多くの人の知るところである。このことは看護界にとって,戦後60年とともに明らかに一つの時代が過ぎたことを告げたかのようであった。そして,今秋,ついに初の戦後生まれの首相が日本に誕生した。まさに新たな時代の幕開けである。
科学技術の発展と超高齢化への急激な時代の変化の中で,戦後日本につくられたあらゆる諸制度が,今日ではもはや機能しがたくなり,根底から改革を迫られている。「戦後体制からの脱却」である。医療界にもまた,これまで以上の激震が続いていることは,周知の通りである。すでに2004年の国立大学独立行政法人化がスタートし,医療制度や介護保険が改正されるなど,改革が進んでいるが,明るい展望がもてるのか定かであるとはいえない。
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