連載 ユースカルチャーの現在・50
高校生文化の変遷について(1)―四方田犬彦『ハイスクール1968』を読む
渡部 真
1
1横浜国立大学教育人間科学部
pp.794-797
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100481
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
登場人物
A 大学教師:教育関連学部で社会学を教えている。50歳代,男性。
B 大学生:教育関連学部の4年生。20歳代,男性。
はじめに
A 今回は高校生文化について考えます。資料として四方田犬彦さんが,2004年に刊行した『ハイスクール1968』(新潮社)という本を取り上げましょう。四方田さんは,1953年生まれで現在51歳です。明治学院大学の先生ですが,映画,文学をはじめとした幅広い領域で評論活動を行っています。
B どんな人なのですか?
A 僕は面識がありませんが,昔から彼の本はよく読んできました。年齢も同じです。一言でいって,四方田さんは同世代のスターだったんです。若い映画評論家としては一番明晰な人だと思っていました。簡潔な誰にでもわかる文章で,意味の深いことを書ける人なのです。詩心もあります。僕がよく覚えているのは,まだ20代だった頃,友達から「四方田犬彦みたいな文章は書けないでしょう」といわれたことです。なんでもいいあえる仲のよい友人だったんですが,そういわれたとき,反発できず「なるほど」と納得してしまったことを覚えています。当時から,ちょっと飛び抜けた書き手でした。その後も四方田さんは,漫画論,都市論,韓国論と評論の範囲を広げながら活躍を続けています。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.