特集 臨地実習──学生を大切に育てたい
学生によるレクリエーション・プログラムの運営とその学び―精神看護学領域における一実習方法として
松田 光信
1
1福井大学医学部看護学科
pp.738-742
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100471
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はじめに
精神科領域において行われるレクリエーション活動は,患者の人権を支えることと同時に治療的な意味を含んでいる1)。臨床の場では,そのような活動を主に看護師が担っているが,非構造化プログラムによるものが多く,精神看護学を学び始めた学生にとっては,それが看護ケアとしてどのような意味をもつのかを理解しがたいようである。
精神看護学実習の手引きを著した書物2, 3)には,レクリエーション療法等に関する目的および看護の役割を理解することについて記載されているものの,その詳細についてはほとんど触れられていない。また,看護師養成機関によっては,実習の中に学生が運営するレクリエーションを取り入れているようであるが,その教育的な成果を報告したもの4)はほとんど見当たらない。
精神看護学実習では,受け持った1人の患者に対する1対1の看護ケアだけでなく,集団に対する看護ケアについても学習することによって,受け持ち患者をより深くそして広く理解することになり,それは適切な看護ケアを考えるうえで不可欠であろうと思われる。筆者が過去2年間に関わった学生の実習では,1人の受け持ち患者に対する看護ケアだけを経験するのではなく,学生主体によるレクリエーション活動を企画し運営する試みを取り入れてきた。
本論文の目的は,この2年間に学生が運営したレクリエーション活動(名称『レクリエーション・プログラム』:以下,レクリエーション)の内容を報告し,学生がレクリエーションの運営を通して学んだことは何かを明らかにすることとした。
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