特集 病院職員とレクリエーション
人間関係とレクリエーション
杉 政孝
1
1立教大学社会学
pp.23-26
発行日 1967年5月1日
Published Date 1967/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203082
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問題意識の方向
病院職員のレクリエーションと人間関係の関係を考えるのが本題の主旨であるが,実は,このような問題についてはあらかじめいくつかの前提のもとに問題意識の方向を確認しておかないと論理が混乱するおそれがある。肉体的に病んでいるだけではなく,心理的にも不安定な状態にある患者を対象として仕事を進める病院の職員にとって,気分転換のための健全なレクリエーションが必要であることは,製造業などの一般企業体の従業員の場合にも増して,明らかなことであろう。また病院組織が多数の人間の協力によって運営されている以上,その職員間の人間関係を改善する必要性についても,異存のあろうはずはない。したがって,本稿においても,病院職員の健全なレクリエーション活動の充実が,人間関係の改善につながり,さらにそれが患者へのサービス行動にも,また病院の管理運営にも良い影響をもたらすであろうことが,暗黙のうちに前提されているのであろう。基本的な問題意識としてはそれでなにも疑問はないように思えるが,少し立ち入って考えてみると,レクリエーションの充実が人間関係の改善につながり,それがそのまま患者および病院の経営者さらに職員自身にとって望ましい最終的な結果を生みだすというこの楽観的な三段論法は,必ずしも一定の意味内容を含んでいるものではないことに気がつく。
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