特集2 更年期だけではない性差がもたらす身体の異変 性差医療の現在・未来
男性の更年期障害
石蔵 文信
1,2
,
西村 明子
3
1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻医療技術科学分野機能診断科学講座
2医誠会病院男性更年期外来
3大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻統合保健看護科学分野生命育成看護科学講座
pp.709-713
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100351
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はじめに
更年期障害は果たして医学的には病気であろうか? これは実際に診療に携わっている,いないにかかわらず,共通の疑問である。われわれの疑問とは裏腹に,世間一般ではマスコミを通じて更年期障害が一人歩きしているように思える。性周期が止まり,はっきりとホルモンバランスが変化する女性でさえ,更年期の病態が十分に把握されていないのに,最近では男性更年期という言葉まで世間に流布されはじめた。医療関係者も一般の方も,わけがわからないまま,更年期という言葉を安易に使ってきた。中高年の不定愁訴に対して“更年期だから……”という会話が実にまことしやかにささやかれ,多くの人がなんとなく納得してしまうのである。それほど“更年期”という言葉は便利なのである。
性差を考えた医療は今後ますます大切になっていきているが,現状は従来から研究されていた女性更年期障害に,男性更年期障害,女性外来,男性外来が加わり混沌としてきている。このため,女性更年期も男性更年期も単一の疾患と捉えるのではなく,現在のところ中高年に生じるさまざまな疾患群として考えたほうがよいかもしれない。
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