特集 更年期へのストラテジー 更年期を人生の素敵な季節にするために
メディカル・トピックス
男性の更年期障害
堀江 重郎
1
1帝京大学医学部付属病院泌尿器科
pp.546-550
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100499
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男性更年期という言葉が最近注目を集めています。これまで更年期というと,女性特有のものと考えられてきました。女性の場合は,40歳代から50歳代に閉経を迎え,それに伴って女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減り,その期間に集中して身体症状と精神症状の更年期障害が起こります。
男性に関しては,加齢の過程で女性の閉経に相当する急激なホルモン環境の変化はないと思われます。しかし40歳から60歳の間に,おそらく精神的,肉体的ストレスを誘因として,疲労感,抑うつ状態,不眠,性欲の減退などを訴える人が少なからず存在します。
筋肉痛であれば整形外科で,不眠や抑うつ状態は心療内科や神経科で,また性欲減退は泌尿器科でそれぞれ対応されていても,一般的な生化学検査で異常がない場合は加齢によるもの,あるいは過労によるものととらえられがちでした。
一方,このような一見不定な愁訴のために労働意欲がわかず,人生での仕事の仕上げをしていく時期をないがしろにしてしまうことがしばしばあります。
最近,男性にも女性同様ホルモン環境の変化があり,とくに加齢に伴う男性ホルモンの低下がこれらの症状と関係することがわかってきました。したがって,「男性更年期」という言葉が適切かは難しいですが,いわゆる壮年期に起こる男性ホルモン減少による身体的および精神的障害のことと位置づけられます。
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