特集 男性の健康を考える
男性更年期障害
辻村 晃
1
1順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科
pp.166-169
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208135
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男性にも更年期症状が存在するという概念,すなわち「男性更年期障害」は2000年頃からマスメディアを中心に盛んに用いられるようになった.医学的な正式名称は,加齢男性性腺機能低下症候群〔late-onset hypogonadism(LOH)症候群〕であり,すでに診療の手引きも発刊されている1).本疾患の国際的な定義は「加齢に伴う血中男性ホルモンの低下に基づく生化学的な症候群」とされている.最近では,LOH症候群という名称でマスメディアに取り上げられることも増えてきた.ここでは,男性更年期障害をLOH症候群として解説する.
LOH症候群は,性腺(精巣)の機能低下症,すなわち男性ホルモンの低下が病態の本質である.したがって,閉経という生理的変化に伴って女性ホルモン(卵巣性エストロゲン)が急激に低下することで生じる女性の更年期障害ととらえ方は全く同じである.つまり,女性の更年期症状である体のだるさ,ほてり,気分的な落ち込み,集中力の欠如,いらいら感など自律神経失調症的な不定愁訴は男性にも認められ,これらがLOH症候群の中心的な症状である.LOH症状の把握と男性ホルモンの測定がLOH症候群診療の鍵となる.
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