特集2 更年期だけではない性差がもたらす身体の異変 性差医療の現在・未来
女性の更年期障害
藤井 美穂
1
1札幌医科大学医学部産婦人科教室
pp.714-718
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100352
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更年期とは
文明の発展を背景に,人類はこれまでにないきわめて長い時間の生を獲得することができた。反面,生殖能力を失い加齢がすすむ時間の中,生き方のqualityをできる限り高く維持し過ごさなければならなくなった。先進諸国の中でも特にわが国の女性は,卵巣機能が低下し生殖能力を失ったあと,ほぼこれ以前と同じ時間を過ごすことになった。
更年期は,「女性の生殖期(性成熟期)と非生殖期(老年期)のあいだの移行期であり,卵巣機能が衰退しはじめ,消失する時期」と定義される1)。更年期は思春期,青年期などと同じく,誰もが通過するライフサイクル上の呼称にすぎない。しかしこの時期は生殖能力を失うという動物学上大きな意味をもつほか,ホルモン環境・社会環境の変化が生じる時期であり,これに伴う身体的・精神的障害が表面化してくる時期でもある。
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