特集1 看護学生の論文 入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
Aさんから学んだこと
松本 奏美
1
1日本赤十字看護大学
pp.646-647
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100332
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私には,小学校以来の友人であるAさんがいる。彼女はダウン症である。したがって,「生命倫理学」の授業で正村公宏著『ダウン症の子をもって』(新潮社,1983年)が取り上げられた時には,自分の実体験と照らし合わせて,いろいろなことを思った。
本書は,正村氏が息子の隆明さんのことを書いたもので,隆明さんは幼少時は非常に多動であり,2階から手当たり次第に物を投げたり,庭にあった履物を全部マンホールに投げ込んでゲラゲラと笑っていた。しかし,授業中に見たビデオ(NHK:心の絆を結び合う─ダウン症の息子と共に40年)のなかで見た隆明さんはすでに40歳になっていて,そのせいか,すっかり落ち着いていた。幼少時には若干の言葉が発せられていたが,この時点では,親子の間での言葉によるコミュニケーションはとだえていた。しかし,食卓でくつろぐ正村親子の間には言葉を超えた豊かなコミュニケーションが形成され,親子が深い絆で結ばれているように感じられた。
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