連載 UIC大学院生通信―アメリカの看護教育・大学院生活・研究・4
外国人として米国で生活すること
渡辺 薫
1
1イリノイ大学シカゴ校看護学部博士課程
pp.602-603
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100322
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今,移民法の改正をめぐり,アメリカ合衆国内で活発な論議が交わされています。不法入国・在留者の問題,テロ対策,経済対策等の理由から法律の改正案が議会に提出され,討論されています。もちろん,移民法の改正はこれが初めてではなく,これまで幾度も行われてきました。移民の歴史と問題を抜きに,この国の歴史を語ることはできないと言えます。今回の移民法の改正に伴い,各地で移民・在米外国人を支持する大規模な集会が開かれています。テレビやラジオのニュースでも,この国の経済がいかに移民・在米外国人に支えられているか,移民・在米外国人が抱えている問題がいかに多岐に渡っているかが報道されています。意見の差は多少ありますが,移民や在米外国人の存在抜きではこの国は一日たりとも機能できないと多くの人が認めています。
移民(immigrant)とは,正確には永住権を取得しこの国に住んでいる外国人をさしますが,移民法は,不法,合法にかかわらず何らかの理由でこの国に入国し,滞在している外国人すべてを対象とします。留学生(ここでは特に院生)はこの国で学位をとることを目的として入国を許可され,限られた期間滞在し,学位を取った後帰国します。ですから,留学生活はある程度移民法で規制されていると言えるでしょう。今回は,移民法そのものではなく,この法律が留学生の毎日の生活にどんな影響をもたらしているのかを,留学資金の準備を例にとって考えてみたいと思います。
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