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●【主な論文】「外国で生まれた看護学部生が感じるストレスと教育者からのサポート」から
私はこの5月に,イリノイ大学シカゴ校(UIC)看護学部BSN to PhDプログラム(一貫性博士課程)を無事修了することができました。長いようであっという間の4年間でしたが,たくさんの方々の助けがなければ成し遂げられなかったことで,修了式の日は本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。アドバイザーのパメラ・ヒル先生は,「最初はあんなに不安げで自信なさそうだったあなたが,本当に立派になって」と本当に涙して喜んで下さいました。4年間ずっと支えて下さったアドバイザーのことは,第二の母のように思います。
外国人が米国で看護高等教育を受けるというのは,カリキュラムの整った環境で,多くの看護理論家や有名な研究者から直々に,もしくはその存在を身近に感じながら学ぶことができ,やりがいは大きいですが,その一方でストレスも多く伴うことです。標題に挙げた論文は,自分の経験と重なる部分がたくさんあり,読みながら「そうそう」と頷く一方で,UICは留学生への受け入れにとても理解があったので,おそらく他の看護大学の留学生よりも環境的に恵まれていたことを感じました。大きく頷いた部分は,「忙しすぎて時間がないこと」。特に外国人で学生ビザであるとフルタイムで授業を取らないといけないので,1学期に4つや5つのコースを取ることもあり,コースワークを取っている頃はいつも課題に追われていました。また「金銭的な問題」も留学生共通の問題で,外国人は米国人学生よりも学費が高く(州内と州外で設定されている場合,州外扱いに),学生ビザでは学外アルバイトも禁止されているため,母国からの援助がない場合,学内でアシスタントシップや奨学金を得ないととても厳しくなります。私は結果的に奨学金やフェローシップをもらえたものの,毎学期終わるごとに次の学期にもらえるかどうかを心配しなくてはならなかったので大きなストレスでした。また学部生の場合は,多くが看護師として米国で働きたいがゆえに留学しているため,「ビザやステータスの問題」は大きいようです。一時はすぐにビザの降りる職と考えられていた看護師ですが,ビザの数を制限するretrogressionが始まって以来,卒業後に本当に仕事がもらえるのか,ビザをもらって仕事を続けていけるのかという不安が大きなストレス源になっているようです。
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