特集 原子力災害と公衆衛生
緊急被ばく医療体制の課題と放射線防護
神谷 研二
1,2
,
谷川 攻一
2,3
,
細井 義夫
1,2
1広島大学原爆放射線医科学研究所
2広島大学緊急被ばく医療推進センター
3広島大学医歯薬保健学研究院
pp.944-950
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102604
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はじめに
2011年3月11日に起きた東日本大震災は,自然災害が原子力災害を誘発することで人類が初めて経験する巨大複合災害に進展した.東京電力福島第一原子力発電所事故(以下,福島原発事故)では,大量の放射性物質が環境中に放出され,INES(国際原子力事象評価尺度)評価でチェルノブイリ原子力発電所事故と並ぶレベル7と評価される最悪の事態となった.今回の災害は,複合災害ゆえに生じた多くの課題を明らかにしたが,緊急被ばく医療体制においても効果的に機能した部分と,再検討を要する部分が明らかとなった.
本稿では,緊急被ばく医療体制の課題を述べると共に,原子力安全委員会で議論が行われた原子力施設等の防災対策の見直しについて,被ばく医療に関連する事項を紹介する1).
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