連載 教え,伝える現場・3
無条件に受け止める―遠藤 浩さん
永井 祐子
pp.191-194
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100230
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自立援助ホーム「えんどうホーム」は横浜の新興住宅街の只中にあった。食事の準備に忙しい遠藤浩さん夫妻と空腹を訴える子どもたち,夕食時の騒がしさは一見,ごく普通の家庭の一幕のようだ。しかし,遠藤さんと子どもたちは血縁で結ばれているわけではない。家庭がなかった子どもたちは,このホームで“信頼できる”家族のぬくもりを取り戻そうとしている。
何らかの理由で家庭にいられなくなった子どもは,児童福祉施設などに入所して生活している。義務教育を終えると子どもたちは高校進学をしない限り,施設を退所しなければならない。事情があって家族と暮らすこともできない。かといってアパートの保証人になってくれる人もいない。そのような15歳の少年少女の多くは仲間の部屋に転がり込むか,住み込みで働くかしかない。仕事場で対人関係がうまくいかなくても,相談をしたり生活を支援してくれる大人はいない,というのが現状である。そのような子どもに対して支援が必要だと考えた人々がボランティアで始めた活動が現在「自立援助ホーム」として国の認可を受けている。
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