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—R.J.リフトン,E.オルソン 著 中山善之 訳—「生きること死ぬこと」/—若松 栄一 著—「アメリカの医療の横顔」
小池 順子
1
1東京医歯大医学部付属病院
pp.62-63
発行日 1976年12月1日
Published Date 1976/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206100
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精神歴史学の視点から死を分析
「死」をどう考えてきたか
現代社会において,死という問題は大変な注目を浴びている.その証拠に国の内外で死を主題にした書物が数多く刊行され,学会やマスコミ,そして日常の会話の中にも死ということに関することが,しばしば問題にされている.
本書は,死一喪われた季節,死と生のサイクル,象徴的な不死,死の歴史,核の時代,死と再生:創造者としての生存者の6章にわたり,現代における死の問題を,60年代の革命的な雰囲気をもとに,生と死の連続性に関する心理学的な実例を通し精神歴史学(心理学と歴史の融合)の視野に立って分析し記述したものである.生と死を,古来から人間はどのようにとらえて来たか,そして今世紀にもたらされた原爆やベトナム戦争などの危機によりどのような変化がもたらされたかを,フロイトやユングの考えを基盤に,人類の歴史全体を通して人間の考えたさまざまな解答を述べている.
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