特集 地域保健活動の焦点—21世紀を目前に
III章 地域保健活動21世紀の焦点
住民参加とNGO
松田 正己
1
1静岡県立大学看護学部
pp.1071-1075
発行日 1999年11月25日
Published Date 1999/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902977
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自立の潮流といのちへの自覚
女性の社会参画や障害者の参加を例にとるまでもなく,住民参加は,民主主義の根幹であり,20世紀から21世紀へと脈々と発展しつつある歴史的な潮流である。世界では,わが国の戦後の経済発展も参加的経営として位置づけられている。日本の風土・文化から見ても,住民参加は決して異質なものではない。地域保健領域においても,この潮流は21世紀に激しくなることはあっても,衰退することはないであろう。
注意すべきは,住民の自立や住民参加を阻害するような専門家の言動(父権的:パタナリスティックと称される)が,20世紀的な公衆衛生活動(感染者の隔離など)や,疾病の予防活動(一方的な健康教育など)に潜んでいることである。20世紀の終わりを迎えるにあたり,地域保健に従事する方にとっては,本企画は自己を振り返るいい機会ではなかろうか。
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