連載 いま知っておきたい環境問題・8
家屋内生息性ダニ類とアレルギー
吉川 翠
1
1東京都立衛生研究所
pp.770-776
発行日 1999年9月10日
Published Date 1999/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902957
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家屋内生息性ダニ類とその繁殖条件
ダニ目は7亜目に分けられます。7亜目の中で4亜目のダニ類(中気門亜目,前気門亜目,無安門亜目,隠気門亜目)が家屋内から検出されます(表1)。しかし,表1のダニ類のすべてが家屋内に生息しているわけではありません。家屋内で検出されるダニとは,家屋内に生息しているダニと,家屋外から侵入してきてたまたま家屋内で長つかったダニを合わせたものです。では家屋内てよく兄つかるダニは何種類かと言えば,30〜40種類です(表2)。もっとも,家屋の構造や使用される建材などが変わるとダニ相も変わりますので,表2の中でもツメダニの一部,コハリダニ,コナダニの一部,ヒョウホンダニは現在の家屋内ではほとんど見つかりません。
家屋内に生息するダニ類で一番数が多いダニは,ヤケヒョウヒダニとコナヒョヒウダニ(チリダニ科)で,全ダニ数の7割以上を占めます(図1,表3)。ただし,調査場所によってチリダニの占める割合も異なり,占い畳,化繊のじゅうたん,衣類,布団では高くなります。一方,チリダニの構成比率が低いのは新しい畳,ウールじゅうたん,床板などです。その理由は繁殖条件によります。
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