特集 母子保健計画を活動にどう生かすか
母子保健の世界的な潮流—グローバルな視点から,日本の母子保健を見直す
中村 安秀
1
1東京大学医学部国際地域保健学
pp.992-996
発行日 1998年11月10日
Published Date 1998/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902920
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
要約
今後の日本の母子保健のあり方を考えるとき,先進諸国や開発途上国からの期待やまなざしを意識しつつ,地球規模でのグローバルな視点からの見直しが必要であろう。日本の母子保健が発展してきた軌跡を科学的に分析することにより,はじめて国外でも援用できる普遍性をもつことが可能になる。残念ながら日本の母子保健の変遷に関する科学的研究は非常に限られているが,今後は日本の母子保健の輝かしい成功の軌跡だけでなく,影の部分をも謙虚に伝え,世界の母子保健の発展に貢献することが求められている。
母子保健の具体的な課題として,乳児死亡率に替わる健康指標の開発,女性の社会経済的地位の向上や権利保護に墓づいた女性のエンパワーメントをめざすリプロダクティブ・ヘルスへの理解,ドメスティック・バイオレンスの実態の解明,ボランティア活動との協調などがあげられる。国内問題と国際問題というように区別して考えるのではなく,日本の母子保健関係者がグローバルな視点をもって,国内での母子保健活動を活発に行うことを期待したい。
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.