連載 世界のフィールドから 健康づくりはボーダレス・6
ピンクの母子手帳—インドネシアの母子保健活動
佐藤 善子
1
,
中村 安秀
2
1国際協力事業団インドネシア母と子の健康手帳プロジェクトチーム
2東京大学大学院医学系研究科国際保健学
pp.786-789
発行日 1999年9月10日
Published Date 1999/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902960
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はじめに
現在インドネシアはかつてない経済危機と政治改革に揺れている。その影響で改善されつつあった医療保健や栄養事情が,10年ほど前の水準まで低下した。その中でも社会的弱者と呼ばれる,女性たち,子供たちの健康状態が悪化した。母子保健においては妊産婦や乳幼児の栄養失調が60%を越えた調査報告もあり,低体重児出産の増加が著しく,乳幼児死亡率の増加,妊産婦死亡率などの増加が懸念される。インドネシアはこれまでもアジア諸国の中でこれらの保健指標が非常に高いとされ,国家保健対策の重要改善課題となっていた。現況では緊急栄養対策に追われ,基礎となる地域保健が手薄となっている。その中で目を引くのは“ピンクの母子手帳”の教育研修および普及活動である。インドネシアで大活躍中のピンクの母子手帳を紹介したい。
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