連載 フランスの児童虐待防止制度・【最終回】
発達した里親制度とさまざまな虐待防止策
児玉 しおり
pp.356-359
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100132
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
非常によく発達した里親制度
里親制度はフランスでは非常によく整備されている。児童福祉課あるいは児童判事の決定によって親元から離されている子どもは,2003年末時点でフランス全国(本土のみ)で13万4400人。うちほぼ半分は里親に預けられている。パリを例にとると,そうした子ども5186人のうち,施設に収容されているのは2657人,里親に託されているのは2238人。後者のうち,県の雇う「家庭補助員」のもとに委託されている子どもが1269人,民間の児童保護団体に属する家庭補助員に預けられている子どもが590人,家族以外の後見人に預けられているのが305人,養子縁組を前提として家庭に預けられているのが74人という内訳だ。
日本で里親というと,孤児や親に見捨てられた子,問題のある子を善意の人が預かるというイメージがあるが,フランスでは家庭補助員は1つの職業として成り立っている。従来は自分の子どもに手がかからなくなった主婦が手軽に副収入を得る手段として携わる場合が多かった。しかし,県は家庭補助員の研修制度の充実,家庭指導員,心理学者,ソーシャルワーカーなど専門家によるバックアップ体制を強化し,家庭補助員の「職業化」を推し進めようとしており,募集も常時行っている。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.