特集 社会保障と公衆衛生の接点をさぐる
主題—社会保障と公衆衛生の接点
公衆衛生に社会科学の理論と法則の導入を—社会保障の歴史的・社会的意義の分析から
孝橋 正一
1
1大阪社会事業短大
pp.363-368
発行日 1966年7月15日
Published Date 1966/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203273
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はじめに
福祉国家から社会開発まで,さらに社会保障や社会福祉をふくめて,一連の新しい言葉と事実が戦後の日本の社会に登場し,ある程度に定着しはじめている。いま,「ある程度に定着」といった理由は,次のような意味が含まれている。つまりこれらの用語とその内容は,日本ではもともと政治家の施政方針上の景気のよい目標概念として打出され,ジャーナリズムがそれを流行語化し,一般の国民・市民もまたおおむがえしに使用するようになった。その意味では一般的に普及したけれども,その歴史的な発生過程や社会的な存在理由を本質的にたずねられたら,その答えにとまどってしまう場合が多いからである。したがって,与えられた課題の展開にさきだって,社会保障という一つの社会的存在の歴史的・社会的意義を分析しておく必要がある。
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