発言席
カイロから北京へのメッセージ
芦野 由利子
1
1日本家族計画連盟事務局
pp.5
発行日 1995年1月10日
Published Date 1995/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902738
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1994年9月カイロで開かれた国際人口開発会議の行動計画で,新しいキーワードが確認された。リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)とリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)である。その核にあるのは,産む産まないの自由がすべてのカップルと個人の基本的人権であるとする考えで,具体的には避妊その他,合法的な出生調節法に関する情報・サービス,安全な妊娠・出産,安全で満足のいく性生活,乳児の健康,性に関する保健,さらにはライフサイクルを通しての健康という意味も含まれる。妊娠・出産の機能をもつのは女性だけであることから,リプロダクティプ・ヘルス/ライツは,特に女性にとって重要な健康課題であり権利であるといえる。
日本は家族計画の成功国といわれる。しかし実態はどうだろうか?避妊の実行率は比較的高いが選択肢は非常に限られている。低用量ピルを認可していない国は日本を含めて11か国しかない。性や避妊,中絶,性感染症などについて安心して相談できる施設もほとんどない。情報や教育も不足している。年々減少しているとはいえ,'93年の中絶届け出数は38万強あり,毎日新聞の'94年調査によると,既婚女性の約3割が中絶の経験者だ。
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