連載 金丸弘美の食をめぐる旅・3
ミネラルと愛情たっぷり粟国島の自然塩
pp.175-177
発行日 2002年3月10日
Published Date 2002/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902580
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塩ひとつで料理の味が俄然変わってしまう。素材を引き立て,味の奥行きが深まり,うまみがぐんと違ってくるのが実感できる。お気に入りは沖縄県の粟国島の「粟国の塩」だ。この塩は,薄いベージュ色をしていて,少し湿り気を帯びたもの。ベージュ色をしているのは,粟国島が珊瑚礁で囲まれており,珊瑚のカルシウム分が多いためだろう。塩を舐めてみると,塩辛さと,苦さと,酸っぱさと,甘さとさまざまな味が複雑に入り交じっているのがわかる。本来塩は,塩辛い塩化ナトリウムのほかに,マグネシウム,カリウム,リン,ヨードなどの微量栄養素を豊富に含んでいる。それらが多彩な味をもたらし,素材を引き立て,まな体の働きに重要な役割を果たしているのである。
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