特集 “介護予防”で保健活動を広げよう
高齢者が寝たきりに至るプロセスを整理する
谷畑 健生
1
,
新郷 歩
1
,
永見 宏行
2
1国立公衆衛生院疫学部
2東京都世田谷保健所
pp.456-462
発行日 2001年6月10日
Published Date 2001/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902445
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寝たきり老人って何?
これから暑くなることを感じさせる湿気のこもった午前中,あらかじめ連絡した訪問時間に少し遅れた私と医学生は,訪問先の田中さん宅へ急いでいた。訪問先の家の右手すぐそばの畑で,ゼムクリップのように腰が曲がった老婆が地面にほとんど顔を擦り付けるように鍬を使って,ゆっくりと雑草取りをしているのを私は何となく眺めながら,汗が噴き出し始めるのを感じていた。
「田中さんは脳卒中のため,軽い右片麻痺の症状があって寝たきりになったのよ」と保健婦はいった。近くに住む家人が食べ物などの面倒をみているが,基本的には一人暮らし。またデイケアなどの町の福祉サービスとボランティアによる配食サービスを受けている,ということであった。
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