医療におけるQOL 現代患者論序説・2
自然・社会環境ファクターと患者のQOL
ニノミヤ アキイエ・ヘンリー
1
Akiie Henry NINOMIYA
1
1神戸聖隷福祉事業団
pp.867-872
発行日 1987年10月1日
Published Date 1987/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209162
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はじめに
前回の「QOLの理念と原則」では外的人間社会関係の質である宇宙,世界,日本の自然,社会環境が患者の病気と深い関係があると述べた.QOLにおける病気の症状は,それら自然,社会,人間関係要素の不調和による発露と見る.その不調和は政治,経済,文化の急激な変化だけでなく,植物,動物,更に水,空気等の非生命的環境まで含めた相互作用的現象である.
医療一般ではこのような分野を研究する学問を人類生態学,社会生態学,疾病生態学,医学生態学,疫学,社会疫学等と呼んでいるが,QOLは人間(患者)を中心に分析調査し,更に医療の向上を目指すものである.したがって,患者の病気と自然環境,社会環境,人間環境とがどのような相互関係にあり,それら環境の不調和をどのように癒し,根本的な治療(ホリスティック・ヒーリングWholistic Healing)に導くかについて方向付けをするのがQOLである.
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