特集 公衆衛生活動の過去・現在・未来
21世紀の公衆衛生と保健婦—ヘルスプロモーションをめざす看護職
斎藤 泰子
1
1宮城大学看護学
pp.929-933
発行日 1999年11月10日
Published Date 1999/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902072
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はじめに
21世紀を目前に,2000年施行をめざして最終調整段階にはいった「介護保険制度」をめぐって医療・福祉分野の動きがあわただしい。保健分野にとっても無視できない21世紀へのハードルとなっている。また,結核緊急事態宣言が出されるなど,新興・再興感染症の予防や組織的な対策が新たな課題となっている。
自然界においても,記憶に新しい阪神淡路大震災規模のトルコ大地震,そして台湾の大地震,地球温暖化の影響からか各地において台風・大雨の被害が相次ぎ,「天変地異」の世紀末の感を濃くしている。こうした状況下は21世紀に向けての「公衆衛生再興」の幕開けを予感させる。
そうはいっても,公衆衛生活動の過去・現在・未来というテーマは,私の器をはるかに越えるものでありしばらく考え込んでいた。しかし,臨床看護や保健婦の実務を経て,国立公衆衛生院公衆衛生看護学部で主に保健婦の現任教育にあたり,そして何よりも現在看護基礎教育の現場に身を置き,まさに21世紀を担う人材の育成をしているという立場への,世紀末に課せられた課題と受けとめ稿に臨むことにした。この立場から,主に「保健婦(士)」(以下文中は「保健婦」の表記で統一した)に期待することを中心に述べてみたい。
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