特集 各方面で進む「ヘルスプロモーション」
ヘルスプロモーションとIT
石原 謙
1
1愛媛大学医学部附属病院医療情報部
pp.689-692
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100457
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電子カルテを活用したり,地域医療情報ネットワークが発達すると,ヘルスプロモーションができるか? もちろん否である.ツールとしての電子カルテや電子的健康データベースに十分な量の標準化された,つまり二次利用できるデータが蓄積されなければ何も始まらない.そしてそれらの情報が信頼できる医療情報ネットワークを通じ,医療関係者や時には患者自身により利用され,情報によって医療人や患者自身をエンパワメントしなければ,むしろ入力に手間がかかり,高価な初期導入費用と保守管理のための人件費のみが負担となってのしかかってくる.
しかし,この問題点を最初から認識し,電子カルテや地域医療ネットワークを何のためにどう使うのかという目的を具体的に明確化している地域や組織体の場合には,ITの活用は地域住民のヘルスプロモーションに実に有用となる.筆者の知る限りでは,自治体でこれを10年前という早期から実現し,現在実効あるモデルとなっているのは,兵庫県加古川市である.当市の「保険医療情報システム」は検査情報の共有を主体としているが,すでに数万枚のICカードを発行して日常診療に活用しているなど,着実な進歩を遂げていることも特筆すべきであろう.その概要は,ホームページ(http://www.kakogawa.or.jp/)などから知ることができる.
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