特集 公衆衛生活動の過去・現在・未来
共生と受容の科学
岩室 紳也
1
1神奈川県厚木保健所
pp.918-923
発行日 1999年11月10日
Published Date 1999/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902070
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21世紀の公衆衛生活動のキーワード
キーワードは「共生と受容の科学」
20世紀と何が違う?
結核,それも薬剤耐性菌が増加の一途をたどる,O 157やコレラは日本の常在菌になる,新興感染症はますます増加する,精神障害が増える,がんが克服できないことが明らかになる,老齢人口の比率が増加し,独居老人対策が重点課題になる,「核家族化」どころか「核個人化」により入と話せない人が多くなる,といった新しい不健康像が増加する。一方で自己責任,自己負担が主流となり,社会保障が崩壊するなど,弱者と強者が区分けされる社会が生まれる。都道府県がなくなり,定年を待たずにリストラされる公務員が続出する。2020年夏,冷夏,異常気象の中,退職金ももらえないまま神奈川県が消滅。ハローワークに行かなければと思いつつ,良き時代を振り返り「もっと早く,早期依願退職で退職金が倍もらえた2000年に公務員を辞めておけばよかった」「40年近くやってきた公衆衛生って何だったんだろう」と自問自答している自分がいた。
少なくとも今のままの公衆衛生活動を続けていれば,あながちあり得ない状況ではないと思うのですがいかがでしょうか。
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