特集 健康文化都市づくり事業のいま
健康文化都市のめざすこと
菊田 高章
1
1厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課
pp.272-275
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901956
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新たな健康観と健康文化都市
近年,日本は,世界一の長寿国(平成8年の平均寿命:男77.01歳,女83.59歳)1)となり,これまでの単に「長生きをする」ことを願うという意味の「長寿志向」から,高齢期の生活においても,「うるおい」や「ゆとり」といったものを享受し,より質の高い生活水準の維持が求められてきている。
このような傾向に伴い,国民の「健康観」についても変化の兆しが見られてきている。1946年のWHO憲章は,「健康とは,身体的,精神的,社会的に良好な状態」という積極的な健康観を導入しているが,平均寿命を長くすることや死亡率の低下が最重要課題とされていた時代においては,健康とは,身体面における疾病,障害などがない状態として理解されることが多かった。しかしながら,前述のように,わが国においても,ようやくこの理念の実現を目指していく環境が整ってきた感がある。
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