連載 シリーズ 始動した新しい健康の町づくり—出雲健康文化都市プロジェクト・3
健康文化都市づくり—草の根の“小地域まちづくり”ネットワーク
佐野 美紀子
1
,
福間 紀子
2
1出雲市健康増進課
2出雲市福祉推進課
pp.427-431
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902096
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小地域まちづくりの意義
公民館単位での小地域の健康福祉活動展開は,出雲市健康文化都市プロジェクトの特徴の一つである.他地域の保健婦から,「なぜ,人口10万近い都市で小地域活動ができるか?」,「大都市では,人口移動が激しくて課題別活動しかできないのでは?」,「私の市では担当人口が多いので,地域活動までは無理」という質問を受けることが多い.そこで,健康福祉の観点からの政策見直しに先行して始められた出雲市の小地域まちづくり活動について,市街地域である今市地区と農山村地域の稗原地区の事例を紹介する.
市民参加の草の根保健福祉活動の場としては,住んでいる住民の顔が思い浮かぶ公民館単位を設定している.出雲市(人口8万6千人)には公民館が16あり,平均5千人が住んでいる.生まれてから中学校までの多感な15年間をともに遊び学んだ仲間が住む地域である.結婚して新しく転入した夫婦は子どもを通して,地域社会との接点を持つ.働き盛りの壮年期には,地域活動に参加することが困難な場合も多いが,定年後は地域社会との交流が盛んになる.すべてを言わなくても互いに気持ちがわかり,共通の思い出や経験,地域への愛着を持つことのできる生活の場が公民館の範囲と考えられる.
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