連載 シリーズ 始動した新しい健康の町づくり—出雲健康文化都市プロジェクト・2
健康文化都市プロジェクトのあゆみ
塩飽 邦憲
1
,
齋藤 茂子
2
1島根医科大学環境保健医学
2島根県立看護短期大学
pp.353-357
発行日 1999年5月15日
Published Date 1999/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902081
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市民が主人公となる活動をめざして
「ある控えめな男のためにお祝いの会が開かれた.集まった人々は,ちょうどいい機会とばかり,てんでに自慢するやら,褒め合いをするやらで時間のたつのを忘れた.食事も終わろうという頃になって人々が気が付いてみると……当の主人公を招くのを忘れていた」(チェーホフ『手帖』1)).1980年代の健康福祉活動は,上記の物語と同じように,主人公抜きの活動展開ではなかったかとの反省がある.
市民は活動の「対象」ではなく「主人公」であり,「パートナー」であるとの基本理念にたった出雲市健康文化都市プロジェクトを,1994年より開始した.本稿では,「出雲コミュニティケア研究会」のあゆみを中心にプロジェクトの準備過程(準備期),「健康文化都市いずもプラン21」を策定した過程(確立期),「プラン21」を実施しつつある発展期を通して(図1),関係したスタッフと市民の成長を価値観,企画能力,重点的活動,活動分野,学習技法の五つのフレームワークから検討した(図2).
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