特集 保健婦にとっての研究
II章 保健所の機能強化における研究
子どもの健康づくりシステム構築への取り組み
藤原 里美
1
1徳島県穴吹保健所
pp.821-825
発行日 1998年9月25日
Published Date 1998/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901856
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要約
核家族化や人間関係の希薄化,女性の社会進出など,子どもを取り巻く環境の変化により,子どもたちの間では,いじめ・不登校などメンタルの問題や食生活・日常生活の変化による小児肥満やアレルギーの増加など,専門的なかかわりを要する健康問題が増加している。
今回,地域の健康問題の1つであり,学校からの要望が強い「子どもの肥満」に注目し,学校と連携を図りながら保健所が小中学生の体格データと3歳児健診データを縦断的に分析した。その結果をもとに肥満予防対策における保健所,町村,学校などの役割を明確にするとともに,「子どもの健康づくり推進会議」を結成し,関係者と協議した結果,現在は身体だけでなく不登校児へのかかわりなど,子どもの心の健康づくりについても取り組みが広がりつつある。
切り口は,小児肥満の調査研究であったが,この研究への取り組みが管内の関係機関との連携を深め,「子どもの健康づくりシステム」構築を図るきっかけとなった。今後は,この成果を小児生活習慣病予防事業や心の健康づくり事業にも発展させ,地域ぐるみで子どもたちの健康な生活を支援するためのネットワークづくりをさらに進めていきたい。
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