連載 ニュースウォーク・1【新連載】
介護保険広域連携の胎動
白井 正夫
1
1朝日新聞編集委員
pp.330-331
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901764
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地域報道の新聞記者として全国を取材して歩く筆者が,保健医療福祉の話題を専門職とは一味ちがう視点から紹介・解説するのが本欄です。
「ああ,かつて炭鉱で栄えた“ヤマの町”だね」。北海道空知地方と聞いて,昔を懐かしむだけでは,いまこの地で暮らす人には失礼かもしれない。確かに炭鉱閉山,離農で町は細った。だが,高齢者福祉の連携に町の再生,地域の活性をかけようという姿を見ていると,そんな気持ちになる。中空知の中心にある奈井江町に近隣5町の町長が集まり,全国でも珍しい「合意書」に署名したのはちょうど1年前,1997年4月23日だった。
合意の中身は当時,国会で法案審議されていた「介護保険制度を共同で研究しよう」。奈井江町の北良治町長の呼びかけに上砂川,浦臼,雨竜,新十津川の4町が応じた(昨年12月,歌志内市も参加)。旧産炭地を抱え過疎と高齢化がすすむ地に,介護・福祉は重い課題だった。そこへ介護保険が現実のものとして迫っていた。首長の意識,思惑はともかく,合意書の向こうに自治体の垣根をはずす「広域介護保険」が視野にあった。
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