明日への展開 ADVANCED TECHNOLOGY
IV.胎児・新生児
NSTと胎動
前田 一雄
1
,
日高 透
1
,
太田 誠
1
,
加藤 一雄
1
,
辰村 正人
1
Kazuo Maeda
1
1鳥取大学医学部産科婦人科学教室
pp.323-329
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206980
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
NSTは,妊娠中の胎児心拍数図によるノンストレステスト(non-stress test)であり,非侵襲的な胎児検査法として最近著しく発達し普及している。一方,胎動は,本来は母体の自覚胎動を意味し,非常に古くから妊娠徴候にあげられ,歴史的に重要であるが,最近ではほんとうの意味の胎動,つまり子宮内における胎児の運動の客観的検討がとりあげられるようになった。これは,超音波診断装置,ことに実時間の電子スキャン装置の発達によるものであり,advanced technologyの先端的発展といえるであろう。
NSTでは,胎児心拍数図の諸成分が検討対象になり,心拍数基線の異常,一過性徐脈,細変動,sinusoidalpatternなどが検討されるが,NSTがreactiveか,non-reactiveかの判別には,一過性頻脈の存在が指標になっている。一過性頻脈(acceleration)は,胎児の運動すなわち胎動に伴って発生するものと考えられていて,ここでNSTと胎動が関連してくるのであるが,両者の関係ははっきりしているようで,しかもそれほど明瞭でない。心拍数は連続的かつ定量的に捉えられているのに,胎動の方は電子スキャンの観察によるほかに適当な方法がなく,連続記録も不可能であったからである。胎動記録には最近著者の開発した超音波ドプラ法があり,今後の検討がまたれるところである。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.