調査報告
育児環境と乳幼児の発達—乳幼児健康診査の場から
佐々木 吉子
1
,
上田 礼子
2
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科
2東京医科歯科大学医学部保健衛生学科母子看護学
pp.310-314
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901760
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要約
住宅事情や家族形態の変化,マルチメディアの発達などにより乳幼児の育児環境は著しく変化をきたしている。一方,育児環境に関しては,これまで多くの者が種々の角度から研究し,育児環境は子どもの発達に関与することが明らかにされてきている。
今回,大都会とその近郊の育児環境,特に乳幼児の発達に遅滞や歪みをきたす可能性の高い育児環境を把握し,保健指導に資することを目的として,JHSQ(日本版Home Screening Questionnaire)を用いた質問紙調査を行った。対象者は,乳幼児健康診査などのために保健相談所などに来所した乳幼児とその母親79組である。
調査の結果,育児環境において発達を促す刺激が多い者と少ない者とがあり,それらの刺激の内容に違いのあることが確認された。また,現時点で発達上問題なしと判断された子どもの中には,今後育児環境に起因した発達障害をきたしうる者がいることが示唆された。JHSQは保健指導場面における有効な支援の手掛かりとなり,また援助の必要な家庭を早期に発見し支援していくうえで,非常に利用価値が高いことが再確認できた。
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